関東地方が記録的な寒波に見舞われた1月25日に、神奈川県の南足柄市にある夕日の滝で、滝行をしてきました。
【注意】滝行は、危険を伴います。初心者の方は、単独行はなさらず、経験豊かな指導者について滝行を行って下さい。冬の滝行は体力を使いますし、体が冷えてこわばって滝の中や出た後で思うように歩けなくなることもあります。
指導者について滝行をするなら、足柄脩験の会が週2-3回のペースで滝行指導を行っています。
記録的な寒さの一日
滝行を決行した1月25日は、東京で48年ぶりに最低気温が-4℃を記録した、殊更に寒い日でした。前日から滝の氷柱が育ち始めているという話も聞いていたので、きれいな冬景色が見られると思って出かけました。
富士山がお出迎え
滝への入口となる、小田急線の新松田駅からは、天気のいい日は富士山を見ることは出来ます。この日も雄大な富士山がお出迎えをしてくれました。
雪と氷に閉ざされた世界
新松田から40分ほどバスに乗って着く終点の地蔵堂から、滝まで道の途中には水たまりがありましたが、厚い氷で覆われていました。ちょっと蹴ったぐらいでは穴が空きません。
滝への道は積雪
滝の駐車場から滝までは5分ほどの歩きとなりますが、遊歩道は先日降った雪がパウダースノー状態でまだ残っていました。積雪20cmぐらいになるでしょうか。
沢を渡る橋の上にも雪が積もっていました。
氷柱の下がる滝と対面
思った通り。滝は幾重もの氷柱で囲まれていました。今まで一番氷柱の下っていた2016年1月26日に匹敵する氷柱です。1月25日頃って、毎年氷柱がすごくなる印象があります。氷柱のデコレーションがあるだけで滝の印象が荘厳になります。
氷のデコレーション
滝壺では、飛沫のかかる岩や石の上に氷がくっついていました。
木の枝も氷でデコレーション。雪もたっぷり残っています。
沢の流れと岩の上で凍りついた飛沫が動と静の対比を見せています。
滝壺の下流側からの景色。雪と氷が織りなす、この時期しか見られない景色です。
気温
滝壺で実測した気温は-1.6℃。ところが、この温度計、後日校正をしてみたら、低い温度では1.5℃程高めに表示することが分かりました。ですので、滝壺前の気温は-3℃ぐらいとなります。
安全祈願の祈祷をする不動堂に置いてあった温度計が示す気温はなんと-5.7℃でした。滝壺周辺は-3℃から-4℃だったと思われます。
水温
水温は実測1.7℃でした。こちらも1.5℃高いとなると、実際には0.2℃。これは今まで経験したことのない水温です。気合が入ります。
写真撮影を終えて、いざ滝行
凍った滝の写真撮影が一通り終わったので、一度滝の入口の駐車場まで戻り、滝行の準備をします。衣服を脱いで、褌と鉢巻を締めて、地下足袋に履き替えれば準備完了です。
その後、滝までまた5分ほど遊歩道を登ってゆきます。ー3~ー4℃の厳しい寒さの中、裸で歩くのは流石に寒いのですが、気合が入っているので、それほどの寒さを感じることは有りませんでした。
滝行の儀式
滝に着くと、不動堂に滝行の安全を祈願し、塩と酒で身体を清めます。
その後、滝前の広場で、舟漕ぎという準備運動をして、身体をほぐした後、九字切りと言って、空中に漢字の九の字を書きます。これを滝に向かって左、後ろ、右、前と四方向に行います。これにより結界を張って、自分の身の安全を確保することになるのだそうです。
それから滝に対して、二礼二拍手一礼をして大きな声で「よろしくお願いします」と言えば、儀式の完了です。
いつも滝行の会の人と一緒に行くと、ここで30分ぐらいかけるのですが、今回は単独行でしたので、簡易的に10分ぐらいで済ましてしまいました。
いざ入滝
儀式が終わったら、滝壺に入り、最初に肩まで水に浸かって身体を冷水に慣らします。1℃台の冷水は冷たいというより痛いです。キーンとした冷水の感覚が体中に伝わってきます。気合を入れないと瞬間的に身体が動かなくなりそうです。
その後、滝の下に移動します。23mの落差を持った水の塊が情け容赦無く頭に上に落ちてきます。最初は冷たさと痛さを感じますが、その内にだんだんと体の感覚が無くなってきます。しかし、今回は単独行ですので、あんまり長い時間入水して身体が動かなくなってしまうと大変なので、1分ほどの入水を2回繰り返して、早々に終了しました。
駐車場まで戻る途中で、やはり足の感覚がなくなくなっていて、なんでもない道で転んでしまいました。かなり余裕を残していたはずなのですがそれでも結構体力と体温を奪われていたようです。
着替えた後は30-40分ぐらいひたすら震えていました。震えている間は体中がガタガタと震える ので、身動きがとれません。水を浴びている時間より、ただひたすら震えているこの時間の方がしんどくて、滝行では一番苦しい時間です。
しかし、震えが収まると、体中に新しい生命力が満ちてくることを感じ、逆に一番充実感を味わえる時間となります。
普段だと、この後もう一回滝に戻って、2セット目に挑戦するのですが、今回は震えが収まるまでにいつも以上に時間がかかってしまったため、2セット目は諦めて山を降りることしました。やはり気温-3℃、水温0.5℃というのは、今までの滝行とは違う身体への負担がありました。でもそれだけにやり切ったという満足感は大きかったです。
締めはうどんが最高
滝行後の昼食はうどんにしました。普段はバス停近くの万葉うどんで食べるのですが、今回は木曜日で定休日だったため、バス停近くのふれあい処茶屋ふじやにしました。
お土産屋のような作りなので、期待していなかったのですが、きちんと作り込んだ煮込みうどんで、きのこもたくさん入っていて美味しかったです。
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新松田駅まで戻ってきたところ、富士山が夕日に照らされていました。
ちなみに夕日の滝の凍結状況と奥多摩の払沢の滝の凍結状況がいつもリンクしています。払沢の滝のほうが寒いので若干凍結率が高いですが、過去数年、払沢の滝の凍結率が40%ぐらいになると夕日の滝にも氷柱が付いているという感じになっています。ちなみに、払沢の滝は1月28日に12年ぶりの完全凍結になったそうです。
夕日の滝も払沢の滝もあと1週間ぐらいは凍っているのではないでしょうか。
この冬は氷柱が有る時にもう一回ぐらいじっくりと滝に打たれたいと思っています。
今までの滝行レポ