関東地方でも雪やみぞれが降っているようです。いよいよ冬の足音が近づいている感じですね。寒いときにはもっと寒い思いをしたくなる天邪鬼者です。
【注意】滝行には、危険を伴います。初心者のかたは、単独行はなさらず、経験豊かな指導者について滝行を行って下さい。特に冬の滝行は体力を使いますし、体が冷えてこわばって思うように歩けなくなることもあります。
指導者について滝行をするなら、足柄脩験の会が週2-3回のペースで滝行指導を行っています。
2017年版と2018年版もありますので合わせてお立ち寄りいただけると幸いです。2018年は記録的な寒さとなり、2回も氷柱の滝で滝行できました。
2018年版
2017年版
滝行の醍醐味はやはり真冬
そろそろ、冬の滝行のシーズンになります。3月にはてなブログを始めてから春と秋に2回滝行ネタを上げていますが、滝行の醍醐味はやはり冬です。そして、僕は2015年の1月から滝行をはじめました。一番過酷だったのが2016年1月の時なので、その時の経験を中心に書きます。画像は一部2015年2月のものも使っています。
雪と氷柱の中の滝
僕が滝行に行く神奈川県南足柄市の夕日の滝は、小田原に近い温暖な土地ですが、標高が400mほど有り、また箱根の山の裏手に当たるため、真冬の冷え込みは結構厳しく、大寒の時期である1月から2月にかけて何回か滝が凍結します。
雪が降らなくてもこんなに氷だらけになるのは、滝の飛沫が有るからです。周りの落ち葉も氷漬けになっています。
2016年1月26日に滝行に行った際には、この冬一番の冷え込みを記録した日で、滝行をした11時の時点で、気温は氷点下1.3℃、水温は2℃でした。
神奈川新聞に取材される
冬一番の冷え込みということで、凍った滝を取材しようとしていた神奈川新聞の記者が滝行をすることを聞いて、一部始終を取材してくれました。電子版もこちらに公開されています。
滝行の一部始終
朝は富士山がお出迎え
電車で来る人は、新松田駅で集合なのですが、冬、晴れている日には、駅の陸橋から富士山を間近に見ることが出来ます。
全員集合して説明を受ける
着替えをする小屋は滝から200mぐらい離れた場所にあります。ここで着替えた後、全員で集合し、指導員から滝行の段取り、注意事項を聞きます。指導者からは「決して無理をしないで下さい。滝への往復や待っている間は、寒いですから、上に何かを着込んだりして暖かくしていて構いません」と説明がありました。まぁ、僕は寒さに比較的強いので、一部始終褌姿で通していますが、このような人ははっきり言って稀です。自分でも物好きだと思います。
滝へ移動
説明を受けると、みんなで滝へ移動します。下が凍っているのでゆっくり歩いて、5分ぐらいで滝に到着します。
氷柱を纏った滝がお出迎え
滝へ移動する最後がちょっと上り坂になっているので、視界を遮られていますが、登りきって視界がひらけた途端に凍りついた滝が目の前に現れます。一行の人は大体ここで「ひゃー」とか「うわぁ~」と悲鳴をあげています。僕はこの姿を見るとむしろハイになってきます。
滝の周囲は、飛沫により空気が冷やされるため、周囲より2-3℃気温が低くなっています。集合地点では服を着なくても寒さを感じなかったですが、流石にここでは寒さを感じます。
安全祈願
滝の傍らにある、不動明王を祀った祠に、今日の滝行の安全を祈願します。指導員の方が般若心経を唱えてくれています。お参りが終わったら、体を塩で清めます。
舟漕ぎ
これは儀式ですが準備運動も兼ねています。ボートを漕ぐように手足を動かすことで体の中から温めてゆきます。
九字切り
四方に向かって漢字の「九」の字を書くことで、滝の周囲に結界を作ります。
いよいよ滝行
この後、2-3人のグループごとに滝行を行います。各グループ1回1分半、それを2-3セット行いますので、1グループ終わるのに入れ替えや水行などで10分ぐらいかかります。2015年の時は人数が多かったので、ここで40分ぐらい待つことになり、すっかり体が冷え切って、自分の順番になる頃には、寒さで膝が震えていました。
水行
滝に入る前に、体を水に慣らすために水行を行います。肩まで水に浸かり10数えます。水温は2℃ぐらいですが、これぐらいの水温だと冷たさを感じることはなく、痛いです。体に水が突き刺さってくる感覚を覚えます。
滝行本番
滝行では1回1分半ひたすら滝に打たれます。水温が5℃を切ってくると、もう冷たさは感じず、ひたすら痛いです。更に23mの高さから落ちてくる水の塊を脳天に受ける痛みもあります。
しかし、それらの強すぎる刺激に耐えているうちに、感覚が抜けてくるというか、痛いとか、寒いとか、冷たいとかいう感覚がどうでも良くなってきます。
真冬の滝行の最大の醍醐味は、この感覚が抜けてゆく感じです。春や秋の水温がそこそこある状態では、このような感覚を味わったことはありません。
ただし、感覚が抜けてくるのと低体温になるのは紙一重なので、この状態を味わいすぎると体が動かなくなって滝から出られなくなります。体が動いているとしても足の運びはかなり覚束なくなってきますので、滝壺から出るときに転んで体中岩で擦り傷を作ってしまうことになります。
意識的にちょっと余力を残しておくぐらいで撤退することが必要です。
自分で余力が残っていると感じて、指導員がまだ大丈夫だと判断すれば3回でも4回でもチャレンジし続けることが出来ます。でも冬の滝はみなさん大抵3回までですね。
滝の中からの景色
防水カメラを持って入った時はこんな写真を撮ることが出来ました。滝の中からはこんな景色を見ています。
新聞社から貰った写真
新聞社の方に取材された際に撮ってもらった 写真です。構図とか氷柱の入れ方とかが上手ですね。もっとスローシャッターで滝が一本の水柱に見えているのも好きなのですが、そうするとよほどきちんと立っていないと人物がぶれてしまうのかもしれません。
滝行中の動画
滝からの帰り道
滝に打たれている間は気合が入っているので良いのですが、滝から出ると一気に震えが出ます。滝つぼでは足元がでこぼこですので、こけないように注意します。ここでこけるとひざやお尻が擦り傷だらけになってしまうからです。実際2015年の時は、滝壺から出る時に足を滑らせて膝を岩にぶつけてしまい、流血してしまいました。
滝から出て、タオルで体を拭く間は、手も足もぶるぶる震えて、歯もガタガタ鳴っています。こんなに自分の身体って思い通りに動かなかったかともどかしくなる時間です。肌は冷たい水の刺激で真っ赤になっています。
小屋までの帰り道も、まだ足が震えていて、生まれたての小鹿のようによろよろしますので、石に転ばないように 気をつけて帰ります
小屋に戻って着替えが終わる頃にやっと震えが収まります。そうすると体の生産した熱によって体の芯からポカポカしてきます。体中に力が漲ってくるのを感じます。肌も水の刺激でスベスベになっています。温泉に入った後と同じような感じです。
冬の滝行はこの感覚を味わうためにやっているような気がします。
夕日の富士山
その後、参加者は近所の温泉に移動します。僕は大抵そこには参加せずに、滝の周りを散歩したり、近所で昼食をとってゆっくりしてから帰ります。
新松田まで戻ってくると、夕日にシルエットになった富士山が迎えてくれました。
また寒い季節がやってきました。この冬も極寒の滝行にチャレンジしてみたいと思っています。