2016年9月4日から面白い連載が始まりました。Kyamanekoさん(id:kyamaneko)さんが執筆する「個人情報漏洩させたらこうなった 」です。
実録! 個人情報漏洩させたらこうなった
連載の最中はタイトルが「実録」となっているので、ドキュメントなのかなと思いましたが、筆者の経験に基づいたフィクションとなっています。(現在はタイトルから「実録!」が削除されています)ご自分の経験が基になっているそうですので、描写が細やかでリアルな気がします。ブログの冒頭に毎回書かれているあらすじには
イベント運営会社『DNプランニング』が運営する、チケット販売サイト『オールチケットオンライン(OCO)』は、約14万人の会員を抱えていた。
ある日、OCOはサイバーアタックを受け、約9万人の個人情報を流出させてしまった。
システム保守を行う『GRシステム』は、責任を問われ、対応に奔走することになった。
もし損害賠償請求をされたら、たちまち倒産するかも知れない。
苦情とサイバーアタックの嵐の中で、関係者たちは……※本作は事実に取材した上で再構成されたフィクションです
と書かれています。全60話の大作です。連載は第一話が9月4日、最終話が11月26日。ほぼ3ヶ月にわたって60話なので、週に3-4話アップデートされていたことになります。
主な登場人物
GRシステム(SIer)
- 佐川健一
- 藤野由加里
- 加藤
- 安原
- 矢口智宏
- 大島
- 緑川
大島が社長、藤野が営業のチーフ、佐川が技術のチーフ、加藤、安原、矢口がエンジニアです。
DNプランニング(オンラインチケット販売会社)
- 浦谷
- 岩倉
- 虻沼
浦谷が社長、岩倉がチケットシステム担当者です。虻沼は社員じゃないのですが、詳しく書くとネタバレになるので、書かないでおきます。
あらすじ
DNプランニングのチケットシステムはシステム構築と運営をGRシステムに委託されています。日常のシステム監視を行っていると、ハッキングにより個人情報が抜かれた形跡が見られ、これを顧客であるDNプランニングに報告、双方によって収拾策を探っていくことに成るのですが、GRシステムは財務的に脆弱、DNプランニングは買い叩きをする阿漕な会社という事で、表に裏に腹の探り合いが続きます。
そこに、GRシステムの社内恋愛に絡んだ人間関係の縺れが有り、エンジニア同士での疑心暗鬼がありと話の糸は2本3本が絡み合いながら話が進んでいきます。
感想
人物描写は、読んでいてキャラクターがちゃんと頭のなかでそれぞれ区別できるように性格の違いが与えられているので、これだけ登場人物が居るのに話が頭のなかで混乱することはありません。きっと、それぞれの人物に実際のモデルがいるんじゃないかなと思います。
筆者はおそらく佐川さんのモデルではないかと思うのですが、ひょっとしたら矢口さんかもしれません。この二人と、藤野さんが主な登場人物、かつキーパーソンとなります。
あんまり書くとネタバレになってしまうのでこの辺で。あとは是非読んでみて下さい。久々に読んだブログ小説です。
最終話に「第一部 完」と書かれているので、これから第二部が始まるのだと思います。第一部で書ききれていなかった人間模様が更に克明に描かれるのではないかと楽しみにしています。